2006年05月08日 |
(by paco)「英国、核廃棄物再処理工場の廃止を決定」の意味 |
Environmental Eyes |
(by paco)NPOの環境エネルギー政策研究所からのNewsLetterによると、「フランスと共に海外再処理請負事業を担ってきた英国では、昨年4月、半ばに発覚した再処理工場THORP(ソープ)での大規模漏洩事故により、 2010年にもTHORPの閉鎖が決定したとも報道されている」とのこと。
読者の皆さんには、何のこっちゃという感じでしょうが、これは日本のエネルギーと環境政策にとっても大きな意味があります。
日本は京都議定書の議長国で、温室効果ガスの削減目標についてはとりわけ大きな責任を持っていることは知っての通りです。それなのに、6%削減どころか、8%以上も増えてしまっていて、どうするの?という状況です。議定書の約束期間は2008年から始まるので、あと1年半先に迫っているのです
日本政府は、排出削減の柱に原子力発電の増加を見込んでいて、その重要な柱になっているのが、「核燃料サイクル」というやつです。今の原発で出る使用済み核燃料(核のゴミ)からプルトニウムを取り出して、燃料として使うというものですが(いずれは高速増殖炉「もんじゅ」でも使う)、この「核のゴミからプルトニウムを取り出す」工程を「核燃料再処理」といって、現在はフランスとイギリスしか行っていません。米国もドイツもすでに撤退している、事故が多い技術なのです。そのイギリスの工場が昨年、大規模な事故によって止まり、現状はフランスが稼働するのみ。日本は英仏に再処理を依頼し、すでにかなりの量のプルトニウムを持ち帰っています。そのイギリスの工場が、技術的な破綻から事故を起こし、廃止が決まった、というのがこのニュースです。再処理は、商業ベースに乗る技術ではないのです。
その際処理を、日本は青森県六ヶ所村に大きな工場を造り、新たに事業としてノリだそうとしています。すでに工場は完成し、試験中ですが、今ちょうど「実際の使用済み核燃料」を工場のラインに流す試験が始まろうとする真っ最中で、原発や環境関係者は「今なら止められる」とかなり焦っているタイミングなのです。
再処理が、政策として破綻しているという意見は、自民党議員の河野太郎なども表明していて、国も一枚岩ではありません。合理的に考えれば、再処理はまったく無謀で、かつ金の垂れ流しであるという帰結にならざるを得ないのにもかかわらず、原子力利権の関係者ががっちり固めているのです。という側面もありますが、すでに兆の単位の投資をしてしまっており、このまま撤退すれば、東京電力はじめ、関係企業は株主代表訴訟を受けかねないということもあって、戻るに戻れないのです。
稼働を始めれば、六ヶ所村の工場はいずれ事故を起こすだろうと見られていて、いったん核物質に汚染された工場は破棄するためのコストさえ数倍に跳ね上がります。ここに投じられようとしている金を、風力発電や省エネ投資に回す方が、はるかに議定書の公約実現には効果的な上に、安全です。
世界の動きに、日本はついて行けていないのです。
■トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.f00-189.211.183.203.fs-user.net/mt/mt-tb.cgi/354



■コメント
ご無沙汰しております。m(_ _)m
とても興味深い記事でした。というのも、私自身が現在リサイクル関連業界に身をおいているせいでしょう。
全く事業内容的に関係ありませんが、似たようなことを、大手IT企業に勤務していたときに経験しました。『勇気ある撤退も、立派な経営戦略である』ということは、経営者も百も承知のはずなのに、「これだけ投資してしまっている以上、今さら撤退できない・・・」という『見栄』のために、後に部下の私達がどれだけ苦しめられたか・・・。
『退くも兵法のうち』と、昔の軍師は言ったそうですが、自分の命に関わる戦国時代だったからこそ、そういう決断ができたのかもしれませんね。官僚にしろ政治家にしろ、大赤字を出しても、命まで取られることはないですからねぇ・・・・。
すいません。なんか、とりとめのないコメントで。(汗)
投稿者: Prowler7010 | 2006年5月 8日 19:42
『勇気ある撤退も、立派な経営戦略である』というのは、本当にその通りです。そして今の時代、特に政治のやっていることは、「責任の所在がいい加減」なので、自分たちの利権を守ることが目的になっている行動ばかりが目立ちます。「自分の命」は取られませんが、再処理工場が最悪の事態になれば、地域の多くの人の命に関わる可能性もあります。まあそこまでの事故はないと思いますが、JCOのときのように、スタッフが命の危険にさらされたり、環境破壊になることはおおいにありえます。
でも、実は、そういう中期的な展望のなさも問題なんですが、彼らの「原子力ムラ」の人々の考えていることは、六ヶ所村の工場が稼働しないと、原発の建屋の中が核のゴミで一杯になって、運転できなくなることなのです。
すでに福島など、一部の原発では核のゴミが原発建屋内で一杯になり、搬出しないと運転できない状態になりつつあります。でも、これまでの国の政策から、使用済み根料は「再処理する」ことになっているので、再処理施設が稼働しないと、原発から運び出せない。それで、何とか六ヶ所村の再処理工場を稼働したいのです。
本来なら、使用済み燃料はそのままの状態で保管するのがいちばんいいのですが、そういう政策決定がないので、使用済み燃料の保管場所がない。それで、再処理工場の稼働をいいわけに、六ヶ所村を実質的な燃料保管庫にしてしまえ、というか、せざるを得ないというのが、実際のところです。もちろん、六ヶ所村も青森県も、施設はあくまで再処理工場であって、核のゴミ捨て場にすることは認めていないのですが、最前線にいる人々は、祖いうことはみんなわかっていることです。知らされていないのは、地元住民だけ。地元以外の国民は無関心だし。ちなみに、地元自治体が受け入れるのは、核関連施設は、たくさんの振興資金などの補助金がつくからです。温泉を作ったり、ホールという名のカラオケボックスを作ったりするのでしょうが、ハコモノはつくったら、あとの維持費は地元自治体の負担ですから、儲かるのは土木や建設やさんと彼らから、合法非合法に金をもらう政治屋ばかりです。
原発は、こういう利権の温床なのです。もちろん、その原資は、我々が払った電力料金と税金です。
投稿者: paco@知恵市場主宰 | 2006年5月 9日 00:48
六カ所の事故を待っているような自分に少しいやになっています。原発のあるところ 福井県で生活をして、電気代に割り引きも、うけていて、責任を感じます。昨日も 美浜の事故で負傷をした人と地域の行事で、お茶摘みをしていたのですが、原発の話はしていません。今日の昼のローカルニュースで美浜をまた動かすかどうかを美浜町の議会が審議しているそうです。きっと動かすだろうけど。
電気代を払うときに これが何に使われれるかを考える人が一人でも増えて欲しいです。
まとまりなく すみません。
投稿者: ikeo | 2006年5月15日 12:40